
「親知らずは抜いたほうがいいですか?」歯科医院でよくいただくご質問のひとつです。
痛みがないと「このまま様子見でいいのでは?」と思われる方も多いでしょう。しかし、親知らずは生え方や位置によって、将来的なトラブルの元になることがあります。
今回は、親知らずを抜くべきケースと、必ずしも抜かなくてもよいケースについて、わかりやすく解説いたします。
親知らずは「第3大臼歯」のこと

親知らずは、正式には「第3大臼歯」と呼ばれ、10代後半から20代前半にかけて生えてくることが多い歯です。成人後に親に知られずに生えてくる歯であることが、「親知らず」という名称の由来だと言われています。現代人は顎が小さくなっている傾向があり、親知らずがきれいにまっすぐ生えるスペースが足りないことが少なくありません。また、親知らずが1本も存在しない(先天欠如)人も日本人では10〜20%程度存在します。
親知らずは真っ直ぐに生えてこないことが多い

昔は親知らずが正しく生えてくる人が過半数を占めていましたが、最近は食生活の変化などの影響により顎が小さく、親知らずが正常(まっすぐ)に生える割合は全体の約10〜30%程度で、残りの約70〜90%は斜め・真横に生えるなど、何らかのトラブルを抱えるケースが多いです。
【最近の親知らずの生え方の傾向】
- 斜めに生える
- 横向きに埋まっている
- 一部だけ歯ぐきから出ている
- 完全に骨の中に埋まっている
この「正常に生えてこない親知らず」が、さまざまな問題を引き起こす原因になります。
抜いたほうが良い親知らずとは?
① 繰り返し腫れや痛みが出る場合

親知らずの周囲に炎症が起こる状態を「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」といいます。歯ぐきが腫れる、口が開きづらい、発熱するなどの症状が出ることもあります。一度落ち着いても、疲れや体調不良をきっかけに再発するケースが多いのが特徴です。繰り返す場合は、抜歯を検討したほうが良いでしょう。
② 虫歯・歯周病になるリスクが高い場合

親知らずが斜めに生えていると、歯ブラシが届きにくくなります。その結果、手前の大切な奥歯までむし歯や歯周病になることがあります。特に横向きに埋まっているケースでは、知らないうちに手前の歯の根元が溶けてしまうこともあります。親知らず1本の問題ではなく、「その隣の健康な歯を守るかどうか」という視点が大切です。
③ 噛み合わせや歯並びに影響する場合

親知らずが横向きになっている場合、手前の歯に後ろから押すような力がかかります。親知らずが手前の歯を強く押くことによって、歯並びが悪くなってしまうことがあります。また強い圧力がかかることで、前歯の歯並びに影響を与える可能性もあります。矯正治療後の後戻りを防ぐ観点からも、必要に応じて抜歯をすすめることがあります。
抜かなくてもよいケースは?

すべての親知らずを抜く必要があるわけではありません。
- まっすぐ正常に生えている
- しっかり噛み合っている
- 清掃が十分にできている
- 痛みや炎症が一度もない
このような場合は、無理に抜歯をする必要はありません。完全に骨の中に埋まっており、将来的なリスクが低いと判断される場合も、定期的なレントゲンチェックで経過観察することがあります。
「今痛くないから大丈夫」は本当に安全?

ここが最も誤解されやすいポイントです。親知らずのトラブルは「急に起こる」ことが多いです。海外旅行前、妊娠中、大切な仕事の直前など、タイミングの悪い時に腫れるケースも珍しくありません。“予測できるリスク”は早めに対処するほうが、身体的・時間的コストは小さくなります。特に20代のうちは骨も柔らかく、回復も早いため、抜歯の負担が比較的軽いとされています。
親知らず抜歯後の注意点

食事は傷口に刺激を与えないものにする

抜歯後2~3日程度の食事は、「やわらかい・刺激が少ない・傷口を守る」ことがポイントです。例えば、おかゆ、柔らかいうどん、具があまり入っていないスープなど)がオススメです。食べる時は抜歯した方とは逆の歯で噛むように意識しましょう。4日目ぐらいから、傷口の状態が良好の場合は、少しずつ食べたいものを食べて様子を見ながら徐々に通常食に戻していきましょう。
抜歯後は安静にする

抜歯した部分は傷口となります。そのため、抜歯後に「アルコールの摂取」「激しい運動」「長時間の入浴」などを行うと血行がよくなりすぎてしまい、出血するおそれがあります。親知らず抜歯後は、傷口の血餅(血の塊)を守り、出血や腫れを防ぐため、当日〜翌日は特に安静が必須です。3日〜1週間程度まで激しい運動も控えましょう。
処方された薬はしっかり飲む

口の中には常に雑菌が存在しています。抜歯後に処方される薬は、抜歯した傷口からの細菌感染を防ぐ目的で処方されています。傷口から雑菌が入ってしまうとさまざまな症状を起こす可能性があるため、処方された薬は飲み切るようにしましょう。痛み止めに関しては痛みが落ち着いてきたら服用を中止して問題ありません。
▷親知らずの抜歯は「抜いて終わり」ではありません。その後の過ごし方で、回復のスピードと快適さが変わります。無理をせず、焦らず、身体が回復するリズムに合わせて過ごしましょう。
まとめ:親知らずの状態を把握することが大切

親知らずは、「必ず抜く歯」ではありません。重要なのは、「現在の状態を正確に知ること」「将来のリスクを理解すること」です。もし長年レントゲンを撮っていない、親知らずの状態を知らないという場合は、一度歯科医院でチェックを受けてみましょう。
早めの評価が、将来の大きなトラブルを防ぐ第一歩になります。「今は痛くない」ではなく、「将来も困らないか?」という視点で、ぜひ一度見直してみてはいかがでしょうか。
ご相談はサイトウ歯科クリニックおとなこども院へ

当院では専門のスタッフが一人一人に合わせたケアを提供し、皆さまの口内健康をサポートいたします。親知らずやお口の状態で気になることがあれば、サイトウ歯科クリニックおとなこども院にいつでもお気軽にご相談ください。
