
「歯並びをきれいにしたい」「矯正治療を受けたのに後戻りしてしまった」という悩みを持つ方は少なくありません。その原因の一つとして、舌の位置が関係していることをご存じでしょうか?実は、舌の位置が正しくないと歯並びに影響を及ぼします。
本記事では、正しい舌の位置や、その重要性について解説します。歯並びをきれいに保つために、ぜひ最後までお読みください。
1.正しい舌の位置とは?

正しい舌の位置は、舌の先端が上の前歯のやや後ろの「スポット」に触れていて、舌全体が上顎に付いた状態です。下記のポイントを見ながら、舌が正しい位置にあるかチェックしましょう。
【正しい舌の位置のポイント】
- 舌の先端は上の前歯のすぐ後ろ、スポットと呼ばれる位置に軽く触れている。
- 舌の中央から後方は、上顎の天井部分(口蓋)にぴったりとくっついている。
- 舌全体が持ち上がっている状態をキープし、リラックスしている。
舌が下がっている場合は「低位舌」の状態

舌が下の歯や下顎についている場合は、 正常な位置より舌が低くなっている状態で「低位舌(ていいぜつ)」と呼ばれます。舌の位置が正しくない原因には、舌の筋力の低下や姿勢の悪さ、口呼吸などが考えられます。低位舌は舌の位置として誤った状態であり、常に歯に舌を押し付けているため、歯並びや噛み合わせに大きな影響を及ぼします。
2.舌の位置が歯並びに与える影響
① 出っ歯や開咬(オープンバイト)を引き起こす

舌が前歯を押すような位置にあると、前歯が前方に押し出され、出っ歯(上顎前突)になりやすくなります。また、舌で前歯を押す癖があると、上下の前歯がかみ合わず、開咬(オープンバイト)になることもあります。
② 受け口(反対咬合)の原因になる

舌の位置が低く、常に下顎に押しつけられていると、下顎の成長を促進してしまい、受け口(反対咬合)の原因になります。
③ 歯並びの乱れを引き起こす

舌の位置が正しくないと、舌の筋肉が歯に余計な圧力をかけ、歯並びがガタガタになりやすくなります。特に、歯列矯正後に舌の位置が悪いと、歯並びが元に戻る「後戻り」が起こりやすくなります。
3. 舌の正しい位置を習慣化するトレーニング
正しい舌の位置を維持するためには、MFT(口腔筋機能療法)が効果的です。ここでは、自宅で簡単にできるトレーニングを紹介します。
スポットポジション 【1日10回】

舌を正しい位置に戻すトレーニング方法です。舌の先が丸まってしまいがちな方は、出来るだけ口を大きく開けて練習するようにしましょう。鏡で確認しながら正確な位置を覚えて、1日10回程度行うようにしましょう。
- 上の前歯のすぐ後ろにあるスポットに舌先を軽くつける
- 舌先をスポットに置いたまま、5秒間キープする(舌の先が丸まらないように気を付ける)
あいうべ体操 【1日10回×3セット】

「あ」「い」「う」「べ」と大きく口を動かしながら発音することで、舌の筋肉を鍛えます。声は出しても出さなくてもかまいません。大きく口を動かし、ゆっくりと行うのがポイントです。それぞれ1秒ずつキープして行い、これを10回繰り返します。10回を1セットとし、1日に3セット行うと効果的です。
- 「あ」…口を大きく開ける。
- 「い」…思い切り横に口を広げる。
- 「う」…唇をとがらせて、大きく前に突き出す。
- 「べ」…顎先に向かって伸ばすような感じで舌を思い切り前に出す。
ポッピング 【1日10回】

舌を上に持ち上げる筋肉を鍛え、舌を正しい位置に導きます。舌を上顎にぴったりつけ、ゆっくり口をあけて舌小帯(ぜつしょうたい)を伸ばし勢いよく「ポン」とはじくように離します。舌の先はスポットの位置にあり、舌全体がぴったりと上顎に吸いつけられていることを意識しましょう。
※舌小帯…舌の裏側についているヒダのこと
4. 舌の位置を正しく保つためのポイント
姿勢を正す

正しい姿勢は、人間の身体を横から見たときに、頭、肩、骨盤、膝、かかとが縦に一直線に結ばれます。猫背(背中が丸くなり胸郭が下がった状態)になると、舌が下がりやすくなります。日頃から正しい姿勢を意識しましょう。
口呼吸をやめ、鼻呼吸を意識する

口呼吸をしている場合は、正しい呼吸である鼻呼吸ができるように意識して直すことが大切です。口呼吸をしていると、舌が常に下がってしまいます。口呼吸は、様々な要因で起こりますが、舌や口の周りの筋肉が弱いことも原因の一つです。お口のトレーニングを取り入れてお口周りの筋肉を鍛えましょう。
噛み合わせのチェック

歯並びや噛み合わせが悪い場合、舌の位置が乱れる原因になります。噛み合わせをチェックするために、割り箸などを口にくわえ、奥歯で噛んでみてください。割り箸が水平にならない場合は、左右の歯の高さがズレている可能性があります。歯並びや噛み合わせに違和感がある場合は、一度歯科医院で相談しましょう。
5. まとめ
正しい舌の位置を意識することは、美しい歯並びや健康な噛み合わせを維持するためにとても重要です。舌の位置が悪いと、歯並びの乱れだけでなく、発音の問題や口呼吸の習慣につながることもあります。
まずは、「舌をスポットに置く」ことを意識し、トレーニングを取り入れることから始めましょう。日常の小さな習慣が、将来の美しい歯並びにつながります。
ご相談はサイトウ歯科おとなこども院まで

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